弁護士の小野智映子です。久々に更生緊急保護をお願いしなければならない事案があったので自分への手控えもかねて書いておこうと思います。
更生緊急保護とは、事件を起こして身体を拘束されその後釈放された者で、親族の援助が受けられない、福祉事務所などに保護を求めることができないなど、一時的に生活が困難な場合に法律により保護観察所に特別に保護の申し出ができる制度です。内容としては、生活上のアドバイスが受けられたり、更生保護施設での宿泊、帰住の援助などです。
事件を起こしてしまう人の中には、所持金がないうえに帰る家がなかったり、頼れる親族がまったくいない場合があります。そのような場合身柄が解放されても、生きるために再び犯罪に手を染めてしまう可能性があるため生活の再建を助け、更生をサポートするという制度です。
この保護を受けるには、検察官等が交付する保護カードが必要です。弁護人として、自分の担当した被疑者や被告人がそのような状態の場合、検察官(被疑者段階であれば、捜査担当、被告人段階であれば、立会担当)に連絡して、保護カードを出してもらいます。
この制度は、起訴猶予や執行猶予となり身柄が解放された者が対象となります(更生保護法85条1項)
以前、私が、担当していた被告人が勾留取消となったことがありました。所持金も身寄りも帰住先もなく、この制度を使いたかったのに、勾留取消の場合は条文にないため使えなくて困ったことがありました。結局、更生保護施設も行っているホームレス支援のNPO法人の方に助けて頂くことができ、何とか行く宛てがない、という状況は回避することができました。